2023年12月13日水曜日

12月の読書会(2023/12/9) 6章 第4波フェミニズム 、そしてどこへ?

今月は今年、最後 の読書会だった。この本を今年3月にここで読み始めてもう10回目となった。「家父長制と資本制」と比較すると字も大きく読みやすいと思った割には案外、はて?と思い、さらっと読み飛ばすことはできないところがあった。この書を読みながら1980年代頃から現在までの日本でのフェミニズムの動き(という言い方が適切かどうかわからないが)の50年を振り返ることになった。

実際、ここのジェンダー史に描かれているようにこの街でもちょうど2000年代にジェンダーバッシングが起きていた事実を確認した。

〜テキストを読みながら〜(P94-103)

11月の読書会で読んだ(テキストの)最後の節「男性学の成果」にあった「非モテから始める男性学」を読んだイブさんが「その非モテの男性の心理や辛さをわかる気はしたが、実感として本当に理解し共感したとまではいかない自分に気づき、そういう自分の感じと”フェミニズムを理解しない男性”がファミニストの女性を”うるさい人たち”のように認識することが少しつながっているように感じ、立場の違う人同士が理解し合うことの難しさを感じた」と。

#Me Too 運動のうねり
性暴力という最も見えない暴力=被害者が名乗りでないことによりなかったとされる犯罪が、告発により表に出て過去の経験の再定義により「性犯罪」と認識されるようになった。背景に国際フェミニズムの大きな波の存在。
セクハラ、DVも広く性暴力と定義。「性的」の意味の矮小化← 「ジェンダーに基づく暴力」(gender-baased violence) 或いは「ジェンダー暴力」とも。←『構造的暴力』
伊藤詩織さん「2017 Black Box」

オンラインアクティズムの拡がり
職場の服装規定に「ヒールを履くこと」←KuToo 運動
2019、岡崎判決後、→強制わいせつ罪から「抗拒不能」を削除
  フラワーデモの開催

#MeToo 運動の進展により認識論的パラダイム転換は起きたとまでは言えないが、性差別への許容度は大きく下がりネットのツールとしての使用によりアクティビズムのハードルが下がり
運等のスタイルが変化。
当たり前のことをあたり前に言える社会に。
社会変革とは本音の変化ではなくタテマエの変化を目標とするのではないか?
「痴漢は犯罪です」を見た著者の感動←「犯罪である」という認識のパラダイム転換

「痴漢は犯罪です」という掲示にハッと驚くくらい痴漢が犯罪であるという定義も認識も
なかった時代が長かったということの証なのだと思った。








11月読書会(11/11 土)フェミニズムと揺り戻し


 テキスト:「フェミニズム がひらいた道」p 83〜93   〜フェミニズム と揺り戻し〜
今月はブックカフェサッフォーで開催だった。これで二回目。コーヒーやケーキなどもお供にしながらとても居心地のいい場所での読書会だった。

<テキストに入る前の時間に> 
・映画監督のトークもあった映画「教育と愛国」の話。意見が対立していても、違うことと切り捨てずにその理由を掘り下げて考え理解しようとする監督の姿勢。相入れない意見を持っている人とも諦めずに対話を試みることを大切さ。私はどうだろう?”どうせ分かり合えない。理解されないだろう”という思いで衝突を避け、話題を避けていることあるなあ〜

・またこの頃、聞こえてくる公立学校での授業の進め方。わからない子をわかるようにするのではなく、わかる子にこれもできるか?というような授業も行われているとか。「一人も取り残さない社会」という言葉は、絵にかいた餅にすぎないのか?

・ユーさんがリアルタイムで参加していた「展覧会とワークショップ」(エクアドルの 作家:ディアナ・ガルデネイラ、アンドレア・Z=ロハス、政治的な手芸部、闘う糸の会、Our Clothesline with Monica Mayer)がサッフォーに掲示されていた写真がその展示の写真でありしかもムーさんの作品もそこにあったことに驚いた。遠い国のことではなく日本にも起きていることを思い連帯の大切を考えさせられる企画。

<テキスト>
1997年の「新しい教科書をつくる会」ーこれまでの歴史教科書は「自虐史観」に立つとし、こどもたちがより誇りの持てる日本の歴史を教えようという目的で発足→「慰安婦問題」の間違った理解を広げた。
歴史教科書論争と教科書戦争が起き、歴史教科書から「慰安婦」を削除。
1999年、日の丸、君が代公式に制定する国旗国歌法の制定。
1999年 「男女共同参画社会基本法」成立。男女平等ではなく「男女共同参画=行政用語」。
2000年〜フェミニズム への本格的バッシング始まる。ジェンダー関連図書の追放、
     フェミニズム 関連講演への妨害、中止など。
女性学からジェンダー研究へp90
・80年代後半〜90年代にかけ、女性学の世界で変化
→ 「女を対象とする個別分野の研究」から「ジェンダーを対象にする研究」へとユニバーサル化した。
・ジョーン・スコットによるジェンダーの定義「身体的なさいに意味を与える知」と。
 =ジェンダーは、男女の項ではなく、その項を分割する非対称な差異化の実践であり、ジェ
 ンダーは権力関係の用語だという認識の確立。
・女性学も男性学も「ジェンダー研究」へと統合された。
・こんにち、ジェンダーはあるゆる分野を横断する分析カテゴリーとして国際的に確立した学
 問上の概念となっている。








2023年10月16日月曜日

10月の読書会(2023/10/14) +モンゴルリポート

 今日は最初にムーさんにモンゴルの話をスライドを見ながら話をしていただいた。

首都ウランバートルの整然とした街並み、首都から60キロほど離れて、美しく雄大な自然、動物たち、遊牧民の暮らしを垣間見ながらゲルに泊まったりという貴重な体験。羨ましいの声!

食生活はお肉と乳製品が中心で、標高が高く乾燥しているので野菜は自国での生産は難しく輸入が多いことや岩塩以外の調味料はあまり使わないことなど日本の食生活とは大きく違っていることなどとても興味深かった。

移動するには、公共交通機関はほとんどないのでドライバー付きの車の手配や通訳は必須のようだった。言語はモンゴル語だが、年配者はロシア語、若い人は少し英語もわかる人がいると。

遊牧民は元々、皆で協力して働く社会であり、そこに社会主義国になっても同じで、女性も男性も仕事をするのはあたり前のことで、育児や家事が女性の仕事という考えはないようだ。子供の世話もおじいさんやおじさんがするのは当たり前とか。どこかの国とはだいぶ違うようだ。

テキスト(P77~82)

慰安婦問題の解決に向け設立された国民基金設立も一定の効果がなかったとは言えないのでは?首相たちのお詫び文の存在。「慰安婦問題」に対する日本フェミニズムの最大の達成と言える2000年「女性国際戦犯法廷」という民衆裁判開催。

フェミニスト法学者の出した昭和天皇の有罪判決、NHKで番組制作するも、直前に介入で放映中止という結果。

「戦争兵器としての戦時性暴力」の残虐さと恐ろしさ。そして今にも続いている戦時下における性暴力。性暴力の被害者が声を上げることの難しさ。その辛い被害者を受け入れないコミュニティ。そしてコミュニティの崩壊を招く場合も。




2023年9月28日木曜日

9月の読書会(2023/9/18) 第3波フェミニズム と揺り戻し

9月18日(祝月)読書会 @市民活動センター

5章 第3波フェミニズム と揺り戻し(テキストp 68〜p77,2行目まで)

 ガーリーって何?

 人によって共通のイメージが見つけにくい言葉かな〜
 最近、あまり聞くことがないような気がする
 「女の子」という表現

 女性たちによる自らの欲望の解放

・ポップカルチャー、ガールズバンド、

・サブカルに進出、コミケ、BL(ボーイズラブ小説)、「腐女子」、ライトノベル、

  BL小説とAlly(アライ)小説 https://www.asahi.com/sdgs/article/15006745

  百合漫画:NHKドラマで「作りたい女。食べたい女」など

・ 女性が性の主体になれない?

・ トークニズム、https://honz.jp/articles/-/46128

・ オードリーロード( Audre Lorde、1934年2月18日 - 1992年11月17日)、

  アメリカ合衆国の作家、詩人、フェミニスト、人権活動家)

LGBTQAX?← この表現はあまり見ないものでは?  non-binary

クイアセオリーとは?

Judith  Batler ”gender  trouble”

 日本での女性の表現者

ターリ・イトー アーティスト

長島有里枝 女性写真家「視点的写真の意味」 (ピープル バックストアに在か?)

Q 日本での愛3波ってどうだったの? いつ? 

Q ジェンダーバッシング、バックラッシュとは?

        ジェンダー本の撤去、

  2009~2010 ? 自治体や図書館でもジェンダー本の撤去や言葉の規制

生理貧困、  https://eleminist.com/article/2874

ピルについても・・・

国家・企業・家族 ⇄  市場 


p8「現代の小s度あて支援の重要性」奥山真紀子
:上野千鶴子が「家父長制と資本制」で明らかにしたように近代社会では市場が中心となり、自然は市場社会に資源を提供し、老廃物を引き受ける。同時に家族はこどもを育てて市場に労働力を提供し、老いや怪我。病気により市場で働けなくなったものを引き受ける役割が期待されている。



官制婚活イベントは実際、どうだったのか?2023/9/10







2023年9月25日月曜日

テキスト「家父長制と資本制」から「フェミニズム をひらいた道」へ

2023年2月12日「家父長制と資本制」最終日 @市民活動センター

*2020年2月から丸三年かかってついに読み終えた。読み終えたことがひどく嬉しかった。使われている言葉の意味から始まり、また引用文献も多く、読むだけでも随分、時間がかかったが、かなり読み応えはあった。社会の仕組みやその理由を理解できたような気がした。完読直後は資本制をすっかり理解できた様にさえ感じた。

新しいテキスト:”フェミニズムがひらいた道” 何が変わり何が変わらなかったか。


①3/11 新テキスト ”フェミニズム を拓いた道”  初日 @市民活動センター

②4/8   ③5/8   ④6/10 @(移動前の)市民活動センター

⑤7/8  @(カピオ横に移動後の)市民活動センター


8/26 @ブックカフェ”サッフォー” 初会場

  * 報告会”男女共同参画条例制定にまつわる(1996~2004頃)も実施

  第4章「女性学の登場」〜ガーリーカルチャーの騒乱
   ・女性学とは何か?組織とは?
   ・男女雇用機会均等法(1985)
   ・労働者派遣事業法(1985)
   ・紳士服仕立ての法律、女性の分断
  *均等法以前に就職した場合は、当然の様に男女賃金差別があり、均等法後に就職した場
  合は表面的には平等があったように見えた。

⑦ 9/18(祝月)@(カピオ横に移動後の)市民活動センター


2023年9月23日土曜日

8月と9月の読書会の間に起きた出来事

 それは官製婚活の案内から!

チラシには

再婚女性&シングルマザー理解者限定婚活パーティー」
参加条件として男性は「30~40代」「年収500万円以上」
女性は「再婚希望者」「シングルマザー」とあった。

こんな趣旨文が記載されていた! そして ”ベビーファースト運動”って?

「こどもを産み育てやすい社会を推進するためには、男女が出会い結婚して子どもを作らないといけない。出会いを求めていただき再婚することにより、経済的にも恵まれ、最終的には、新たにこどもを産むこと、育てることがしやすくなります」

後援、協力ってなんだろう?

イベントは茨城県などが設立した一般社団法人「いばらき出会いサポートセンター」が後援し、つくば市こども政策課も「協力」として名を連ねている。


*当初の文面からは、修正されたようです。                  

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000126460.html

協力は中止

県少子化対策課は「対象者を年収で絞るのは人権に関わる話で不適切だ。また、男性が子ども目的でシングルマザーに近づくという可能性には考えが及ばず、認識が甘かった」と話した。「子どもを作らないといけない」などの記載も男女の自己決定権に反すると判断し、センターには「後援にはふさわしくない」と伝えたという。

https://mainichi.jp/articles/20230906/k00/00m/040/225000c

市に問い合わせした人には下記の回答がきた。

「御指摘のイベントについては、つくば市として、協力しないこととしました。」


ベビーファースト運動:

https://www.jaycee.or.jp/babyfirst/participating/130/

https://www.kids.pref.ibaraki.jp/kids/nursing05_04/xs=_Tx3VaubvyarO/


新聞やフジテレビでもこの問題について報道で取り上げ、その影響もあってか市役所担当課にも問い合わせが多くきて、対応に追われたようであった。
現在、FNNプライムオンラインでも視聴できるようになっているが、視聴数は9/23現在、10万回を超えている。1300を超えるコメントには驚くようなものが多数ある。

「こういう子育て支援があるという考え」に驚かされた」

と、評した友人がいた。本当にこれを子育て支援と考えて実施されたのだろうか?
今、リアルタイムで起きていることだけに色々なことを考えさせられた。
子育て支援ってなんだろう?

2023年9月8日金曜日

8月読書会(2023)での”1996〜2004”レポート

8月の読書会 8/26(土)

いつもの公共施設ではない”ブックカフェ”での読書会。しかもその日は、男女共同参画基本法制定の特別な時代のミニ報告会も予定していた。どうなるかな?と少しだけ心配な気持ちをよそにいつものように始まり、カフェのオーナーのおかげで実はとても面白かった。カフェを訪れていた学生さんが途中から参加するという意外性のある新しく楽しい読書会となった。 

<ミニ報告会>

 テキストを読む前に、ジェイさんとケイさんから、当時、男女共同参画社会実現を目指す啓発活動団体で経験されたことを話していただいた。エルさんが資料のスライドも用意していつもの読書会とは一味違う感じだった。
平成8年(1996)の「T市女性懇話会」設置から平成 16年(2004)「男女共同参画社会基本条例」がT市に制定される頃に経験されたことである。 

他市でのプレジェンダー平等活動>

ケイさんがT市に移る前に見てきたのは、プレジェンダー平等活動とでもいうべき時期のことであり、「他の人に働きかけていく前に、まずは自身のエンパワーメント」だったようだ。

その頃、ケイさんが住んでいた関西地方にある女性センター主催のエンパワーメント講座は多種多様でセンターの活動は自由活発だっだ。現在もT市にはない「女性センターと生涯学習センター」の二つのセンターがそこには存在していたことに皆、驚いた。その二つのセンターのそれぞれのありようは実際にはかなり違っていたようであるが、安心して集まれる場所があることが活動を左右することはあるだろうと思う。

その女性センターは文字通り、市民に開かれた施設だったようである。女性センターの執務室の中と外との仕切りは緩やかで市民が普通に執務室に入って行くことができる空間であり、事業運営も職員だけで全て決めて運営するのではなく、利用者(市民)が中心になって講座等の内容や運営の仕方も決めて進める自主企画・活動が主流だったようだ。「あっちでは市民は特に行政や職員をあてにすることなく自分たちでやっていくという雰囲気だった」とケイさんは語った。 

その後、T市に引っ越したケイさんは、男女共同参画の担当課を訪れ、以前住んでいた街と同じように職員のいる執務室に入ろうとしたら制止され、その違いに驚き戸惑ったと言う。この街は”役所”と市民という意識や壁は少し厚いのかもしれない。と思った。

<T市の男女共同参画社会基本条例の制定に向けて> 

 昭和 60(1985)年 「女子差別撤廃条約」批准、雇用機会均等法制定、そして平成 11(1999)年 「男女共同参画社会基本法」公布と国内でも大きな流れが起き、T市でも条例制定をと言う機運が高まっていた頃、ジェイさんは、市の担当課から出席を要請されて平成8(1996)年 市民による「つくば市女性懇話会」に出席した。参加していたのは市内で様々な分野で活躍しているすごい女性たちだった。そしてその集まりをきっかけに一つの「男女共同参画」を考えるグループとして活動が始まった。
そのグループでは、男女共同参画を推進するために「女子差別撤廃条約」をわかりやすく伝えることができるようにイラストをたくさん使った冊子をメンバーで研究しながら作成し、アジア女性資料センターの助成金も得て発行した。この冊子を使って啓発活動を行い参加者に配布していた。小学校にもこの冊子を持参して生徒たちに話をする活動も行ったり署名活動なども積極的に行ったという。その積極的なフットワークのいい活動に、驚かされた。

 しかし全て順調に活動が進んだだけではなく、当時、T市には男女共同参画に反対する論客やそのグループもあり、市主催の男女共同参画社会基本条例の説明会で出会うこともあったという。彼らグループの主張は、男女役割分業意識がたいへん強いものであったようだ。
そしてある説明会で反対するグループのメンバーが、机を叩いたり大声を出したりしていたので、ケイさんが「女は女らしくとおっしゃってますが、昔はああいう人は女らしいとは言わなかった」と発言したところ、「侮辱した!」と怒った彼女とその仲間に取り囲まれた。ジェイさんはその時の様子を「かなり危険だった」と。
「警察を呼んで」と大声で相手を牽制する傍ら言い返したりして退却しないケイさんを、皆で外に引っ張り出して、なんとか無事にすんだという。

 本当にそんなことが身近なところで起きていたんだという驚きとともにそういう時代を乗り越えて、この条例もでき現在につながっていることに感慨を深くした。 

*参考(男女共同参画条例・ジェンダー平等条例の各自治体状況) http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/147_gender.htm